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読んで(蒼雨が)恥ずかしくなる日記。 改行大好き。
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5時間かけて、天北原野・下巻(著:三浦綾子)を読破した。

もう1時回ってしまったけれど、今の気持ちを書き留めなければいけないような心持ちなので、

今からずらずらーっと蒼雨の感想文を書いていきます。

作品のあらすじは、今度書庫に記録したときに軽く書きます。今は書きません。

あしからず。




天北原野に出てくる人物はほとんど、何かの罪を背負っていたり、また罪によって生かされているところがある。

それであって、罪のみで生きている人間は一人としていないのも、事実だ。

例えば須田原完治は放火し、菅井貴乃を犯し、盗伐もやったりするけれども、

終盤では妻の貴乃と娘の弥江、千代の安否を心配する描写がある。

それまで完治は傍若無人な立ち振る舞いや言動しか見られなかったのだが、

一番最後に罪にならない思いが出てきている。

他の人間も皆そのように書かれていて、悪い面ばかりの中に良い面がちらっと見える人物もいれば、その逆も然り。

要するに、「こいつは完全悪です」といえる人間がいない。

だから、読んでいて心から嫌悪したくなるような人間がいない。

心から好きだといえる人間も、いないけれど。

強いて言えば、その生い立ちが元々罪からだった弥江と千代だけは好きになれそう。



「罪を罪と感じないことが罪だ」という三浦綾子の言葉は、

この作品で分かりやすく述べられているように思える。

完治や伊之助は罪の意識がないから犯罪者のようにも見えるのだが、

貴乃や孝介は自分の罪以上のものまで背負うくらい意識しているので、そうは見えない。

じっと耐える貴乃の姿と、何に於いても身勝手な完治の真逆の姿が交互に書かれるのは、

それを強調しているためであるようにも見える。



ストーリーは悲恋物語なんだけれど、天北原野には、それ以上のものが書かれている。

それが何なのかはっきりとは言えないんだけれど、前述の罪の意識にしてもそうだし、

それぞれがそれぞれ、妥協やごり押しもしつつ生きていく姿は、

最近急増してきた単なる恋愛小説では、絶対に見られないものだと思う。

自分の想いを果たしたいという一途な姿もありながら、それを諦める姿もあれば、

何とか出来ないかと解決策を探る姿もある。

それぞれの気持ちが上手く交差しないから、誰かが見えないところで何かがあったりするのかなぁ。

いつの時代でも、このねじれはどんな先鋭的な機械をもってしても、これは一筋縄には解決しないようだ。

現に少し前まで、自分がこの渦中にあったから、それをひしひしと感じる。



どうして完治は孝介から貴乃を奪ったのか。

完治は多少なりとも孝介を羨んでいたし妬んでいたし、

伊之助から継がれた血筋的な強奪する性癖もあったんだろうけれど、

貴乃への想いがなければ、奪うことはありえなかったわけだから。

根本的な理由があるから。

あとは、貴乃を手に入れたいと思う、完治なりのやり方だったわけであり、

これが別の人間だったら、別の手段をとるだろうし、

あるいは諦観して貴乃を見ているだけで終わる、ということもあっただろうし。

怖いものだと思う。

人間何か一つ違えば、すべての結果を変えられるらしい。

何が違うのかは、動機でも環境でもさほど差異はない。

一つっきりでも違えば、それが無限大にある結果の中から一つに絞っていく原因になるんだ。




……やっぱり眠いとダメだ。

もっと書きたいことあるんだけれど、いい加減眠いのでこれくらいでやめます。

もう2時だし。寝ます。

天北原野、面白かったです。

買ってよかった。本当によかった。
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自己紹介:
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得意技はあらゆる場所で転ぶことです。
最近食べた豪華なものはメロン半玉。
もう書くことないのでこれくらいでいいですか。
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